忙しいビジネスマンのための 勉強法
〜大人だからこそ、学びの時間は濃密になる〜
仕事に生活に通勤に、毎日忙しい日々を送っているビジネスマン。勉強したい、しなければとは思っていても、なかなか時間をとれなかったり、時間を作っても集中できなかったりと、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。そこで、忙しいビジネスマンだからこそ実践していただきたい効率的な勉強のためのヒントを、いくつか紹介いたします。
そもそもなぜ勉強しなければいけないのか、考えてみよう
人と同じことを同じペースでやっていては、相対的に自分の価値はどんどん下がっていく一方です。ビジネスや人生においては、後から後から若い人間が成長していきます。なにもしないで現状維持のままというのは、成長していないどころか、相対的にマイナスなのです。
そこで自分の価値の低下を食い止めるためには、自分や自分の仕事の価値を少しでも上げる努力が欠かせません。そのための大切な手段が、「勉強」なのです。そう考えていくと、いてもたってもいられなくなってきませんか?

効果的な「復習」のタイミングとは?
ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスの研究に、「忘却曲線」というものがあります。簡単にいえば、人間は学習の記憶をどれくらいの速さで失ってしまうのかということを調べたものです。エビングハウスは、無意味なスペルの単語を8個ずつ覚え、その記憶が20分から31日までの間にどう失われていくか、自分自身を実験台にしてグラフを描いてみました。その結果、まず最初の20分で記憶は急速に失われました。4時間で半分以上の記憶が消えてしまうのです。しかし、ここからのグラフは少しずつ緩やかなカーブになります。4時間で半分忘れたからといって、8時間ですべて忘れるわけではないのです。また、この実験はたくさんの研究者によって確かめられましたが、結果はほぼ一緒でした。つまり、記憶の失われ方に大きな個人差はなかったのです。
また、エビングハウスは忘却の研究に続いて、どうすれば確実に多くのものを記憶できるか実験してみました。すると、一日目と二日目に同じ学習をすると、一日目よりずっと成績が良くなることがわかりました。つまり、4時間たっても覚えているスペルがぐんと増えたのです。
このことは、覚えるための大きなヒントになります。人間は何かを学習する際には、一日に何度も繰り返すより、毎日少しずつ復習したほうが、時間の節約になり、覚える量が増えるのです。また、1回目の学習から1ヶ月以上空けてしまうと、復習しても効果がないこともわかりました。つまり、最初に学習したことは1ヶ月以内に何度か復習してこくことが、記憶を定着させるためには大切なのです。
根をつめるな!
勉強の場合であれば同じ科目、仕事であれば同じような内容のものを長時間続けると、いかにも進んだような、はかどったような気がしますが、覚える(暗記する)という意味では、あまり効果的とは言えません。その理由の一つは「飽きる」ということ、もう一つは「記憶の干渉」が起こることです。同じような記憶が並ぶと、古い記憶は新しい記憶に塗り替えられてしまうのです。
たとえば英単語を十個ずつ、三十個覚えたとしても、4時間経てば記憶に残っているのは最後の十個のうちせいぜい半分ですし、次に覚えた十個はさらに少ない単語しか覚えていないでしょう。それよりは、英単語を暗記したら、次は読解問題、といった感じで、同じようなことを繰り返して「根をつめる」のではなく、時間と内容を区切って集中することが大切なのです。

リラックスしながら予習を試みよう
復習に比べて予習はどうしても後回しになります。でも、疲れてやる気が出なかったりして、復習こそおっくうに感じることもあるはずです。そういう時は、まだ習ってないことをリラックスした気分でパラパラっと流し読みでかまわないので予習してみてください。そのとき、覚えようという気持ちは不要です。「こんなことも勉強するのか」「この分野は面白そうだな」といった気持ちで目を通してみてください。
このようなリラックスした予習は、思わぬ効果を生みます。それは、「プライミング記憶」です。これは、あらかじめある単語や情報を見たり聞いたりしていると、その記憶が脳のなかに残っていて、後で同じ単語や情報に出会ったときにそれを覚えやすくなるというものです。後々に、勉強が進んでいって予習したページに入ったときに、不思議なほどスッと記憶できるようになります。
もう一つは、今勉強していることの記憶をしっかりさせてくれることです。学習にはステップや流れがありますから、「そうか、ここは後ろで習うことにつながってくるのか」と気がつき、頭に入りやすくなるのです。

短く集中し、短く休むことから始めよう
集中力が低下してくると、一日がダラーっとした時間になります。当然、欲求不満に陥っています。集中もできない、気晴らしもできないで退屈しきっているのです。まずはこの悪循環から抜け出すために、20分でも30分でもかまわないので、何回も短く集中し、短く休むリズムを繰り返してください。

やる気がなくても「やらないよりマシ」と考えよう
集中力に対する誤解があります。それは、「ダラダラやるならやらないほうがマシ」という考えです。
しかし、そうではなくて「やらないよりマシ」と考えてください。集中力がなくてさっぱり勉強がはかどらないときも、目標設定を大幅に下げても良いので、とにかくできることを積み重ねてください。そうすれば、できた分だけの成果が残ります。なにもやらないときよりも、はるかに着実な成果が残るのです。これが大きな励みになります。後になって「ああ、あそこであきらめないで良かった」と思うからです。それによって、集中力が下がっても工夫次第でなんとかなるのだなと気がつくのです。


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